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「いらっしゃい、剣くん。」
「こんにちは、純子さん。」
剣は玄関で私の母に挨拶し、私はといえば慌てて自分の部屋に逃げ込んだ。
テストが終わるといつもそう、うちの両親は必ず剣を家に招く。
剣は当然のように家にやって来るし、私に顔も見たくないと言っておきながら、一体どういう神経をしてるんだか頭がおかしい。
私は剣と話したくないし顔も見たくないから、大体その日は部屋から一歩も出ない。
いや、出たくないが正しい。
けれどそれも父の一声によって覆される。
「荊棘、下りて来なさい!」
一階から父の声。
そして私はそれに嫌々従うしかない。
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