【2】私と剣の遠い日

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「こんにちは。 剣くん来てたんですね。」 私は部屋に入るなり白々しく剣に声を掛ける。 来ている事に気付かないフリをしつつ、作り笑顔を貼り付けて。 「荊棘さん、こんにちは。 今日も相変わらず可愛いですね。」 剣も心にない歯の浮くような台詞と作り笑いを浮かべ、私のこのヒラヒラフリフリした服を見ながら言った。 「ありがとう。」 ニコニコ。 今すぐ脱いでしまいたい。 この父好みのフリフリした服を着なければいけない私にとって、剣の言葉はどれも傷付く。 人形みたいな私が好きだと言った過去の剣は、もしかしたら父と同じ人種なのかもしれない。 .
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