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それでも私の決意は変わらない。
譲れないものがそこにあるから。
「あら、荊棘どうしたの?
そんな真剣な顔しちゃって。」
「え…!?
あ…、ああ、奏多さんが見付かって良かった…、と思って。」
「そうね。」
私と母の今のやり取りを、やはり無表情で見つめる剣は、どれだけ私の心の中が見えているんだろう。
決して透かして見る事ができない心を、もし仮に覗く事ができたなら、私たちの関係も今より少しはマシだったのだろうか。
まあ考えてもしょうがないんだけれど。
私は半分程ケーキを食べた後、紅茶に口を付ける。
父はケーキに一切手を付けず、私たちが食べ終えるのを黙って待っているようだった。
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