【2】私と剣の遠い日

14/30
前へ
/814ページ
次へ
それでも私の決意は変わらない。 譲れないものがそこにあるから。 「あら、荊棘どうしたの? そんな真剣な顔しちゃって。」 「え…!? あ…、ああ、奏多さんが見付かって良かった…、と思って。」 「そうね。」 私と母の今のやり取りを、やはり無表情で見つめる剣は、どれだけ私の心の中が見えているんだろう。 決して透かして見る事ができない心を、もし仮に覗く事ができたなら、私たちの関係も今より少しはマシだったのだろうか。 まあ考えてもしょうがないんだけれど。 私は半分程ケーキを食べた後、紅茶に口を付ける。 父はケーキに一切手を付けず、私たちが食べ終えるのを黙って待っているようだった。 .
/814ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加