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跡取りなら剣がなればいい。
私は知らない。
そう心で思った事を正直に伝えられたなら、そんな楽な事はない。
「では僕からご報告します。」
剣は性悪な自分を隠し、優等生のフリをする。
フリと言っても優等生には違いないのだけれど、癪に障るからただ私が認めたくないだけだ。
「現代文で一箇所ミスをしてしまい、96点。
他は満点でした。
総合1位です。」
「ほう、そうかそうか!」
父は嬉しそうに剣を見る。
その目を細めた事で深々と刻まれた皺が柔らかな線になり、愛情が優しく溢れ出る。
余程剣が可愛いんだろう。
その点私はどうだろう。
「私は総合9位でした。
家庭科は満点、その他は90点以上。
ただ…、英語は…、」
「またか…。」
するとたちまち落胆した父の声。
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