アオイロハイイロ

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いつもおちゃらけ担当の村田は、泣きすぎたせいか顔が真っ赤で鼻水が顎にまで到達しかけている。 さすがにこの顔の男に抱き着かれるのは、潔癖症としては遠慮したくて、両手を広げて突進してくる彼の抱擁は紙一重でかわしたけれど、 (こんな風に素直に別れを惜しむ気持ちが持てたらよかったのにな) 空振りした両腕で自分を抱き締めながら、おいおい(むせ)び泣いている彼を、ちょっと羨ましく感じながら、 「写真とるぞ村田。笑えよ」 俺は鼻水のついていない村田の肩を叩き、カメラに向かって思い思いのポーズをとる仲間の後ろに加わった。
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