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でも数日後には、その先輩は別の女の子と付き合ったらしくて
おとうさんの助言は結果的には良かったのかも。
『足が変色した?』
次の日、私は早速桐生君に相談した。
『うん。痛くはないみたいなんだけど
気になってさ。』
桐生君は飲みかけの牛乳パックを机に置いて
少し考える仕草
『その前に何かしてた?』
『えっと……お母さんとアルバム見てたよ。』
『柊のお母さんも幽霊見えるのか?』
『ううん。見えるのはわたしだけ。』
『なるほどな。』
なんか……桐生君、推理小説に出てきそう。
美少年だし。
『多分それは……あんまり良くない傾向かも。』
『えっ?』
『現世の未練が強まったんだ。』
『未練………』
『死にたくなかった、もっと愛する者の側に居たいって想いが強まれば、幽霊は魂のバランスが崩れて
体は本来の姿に戻っていく。』
『本来の姿って?』
『………身体の死。つまり……死んだ時の姿。』
半年前
お母さんと震えながら見たおとうさんの姿。
忘れもしない。
長い時間、車と車の間に挟まれたおとうさんの足は圧迫されて
黒く膨らんでいた。
『体が朽ちていけば、ますます未練が強まって
取り憑いてでも留まろうとする。』
『そんな………』
『このままでいいわけないんだ。
お父さんのためにも。柊のためにも。』
どうすればいいの?
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