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いちばんいい方法は
おとうさんを成仏させることだ。
桐生君はそう言ったけど…
成仏って、どーやって?
それに成仏しちゃったら、もう会えないって事だよね?
そうなったら……お母さんはまた……
『ただい………』
「杏奈!!杏奈!!しっかりしろ!」
え?な、なに?
急いで靴を脱ぎ捨てて、リビングの扉を開けた
『お母さん!?』
お母さんは床に倒れていた。
『どうしたの!?お母さん!!』
顔は真っ青だけど、冷や汗が出ていて
意識は無い。
「洗濯を取り込んでたんだ。そしたら急にふらついて……苦しそうにして、そのうちに呼び掛けても答えなくて…」
『そりゃ、おとうさんの声は聞こえないでしょ!』
って、今はそれどころじゃない。
『救急車!』
すぐに救急車が到着して、お母さんを乗せた。
『娘さんも乗ってください!』
救急隊員の人に言われて乗り込むと
おとうさんも無理矢理ついてきた。
透けてるから場所もとらないし
別にいいんだけど……
「杏奈……杏奈……あぁ……ごめん……僕なんにもしてやれなくて……なんで……なんでこんなに役立たずなんだ。」
幽霊も泣くんだ。
そして、爪先だけだった黒い浮腫は
膝下まで広がっていた。
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