おとうさんは幽霊

14/17
前へ
/17ページ
次へ
お母さんは軽い心筋梗塞で 処置も早かったため、奇跡的に脳のダメージもなく 一命を取り止めた。 『意識が戻ったら、ナースコールで呼んで下さい。』 もう……大丈夫……なの? 眠るお母さんをわたしとおとうさんは見つめた。 桐生君は言っていた 取り憑かれた人間は、病気になったり精神を病んだりするって。 もしかして、この心筋梗塞は…… 「杏奈……杏奈ぁ……」 おとうさんはまだ泣いてる。 そして黒い浮腫は顔にまで広がっている。 それに気付いてるのはわたしだけ。 おとうさんは……もしかして お母さんを連れていきたいのかも。 呼ぼうと思えば、家を出て 私を呼ぶことだって出来ただろう。 それに………お母さんも。 最近は笑う様になったから、安心してたけど… やっぱり…… 「杏奈!良かった!環奈!ママが起きたぞ!!」 『………え。』 お母さんの目がうっすらと開いて 口がかすかに動いた 『か………ん……な』 『お…………かあ…………さん!!』 今まで我慢出来てた涙腺が決壊して 赤ちゃんの様に泣きまくってしまった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加