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お母さんは軽い心筋梗塞で
処置も早かったため、奇跡的に脳のダメージもなく
一命を取り止めた。
『意識が戻ったら、ナースコールで呼んで下さい。』
もう……大丈夫……なの?
眠るお母さんをわたしとおとうさんは見つめた。
桐生君は言っていた
取り憑かれた人間は、病気になったり精神を病んだりするって。
もしかして、この心筋梗塞は……
「杏奈……杏奈ぁ……」
おとうさんはまだ泣いてる。
そして黒い浮腫は顔にまで広がっている。
それに気付いてるのはわたしだけ。
おとうさんは……もしかして
お母さんを連れていきたいのかも。
呼ぼうと思えば、家を出て
私を呼ぶことだって出来ただろう。
それに………お母さんも。
最近は笑う様になったから、安心してたけど…
やっぱり……
「杏奈!良かった!環奈!ママが起きたぞ!!」
『………え。』
お母さんの目がうっすらと開いて
口がかすかに動いた
『か………ん……な』
『お…………かあ…………さん!!』
今まで我慢出来てた涙腺が決壊して
赤ちゃんの様に泣きまくってしまった。
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