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新学年、新クラス早々。
桐生君は大人気だった。
彼の一挙手一投足に、クラスの女子(平とわたし除く)はキャアキャア騒ぐ。
それにより、桐生君不機嫌。
『何であんなのがいいのかね。ただのチビじゃん。』
『うーん。顔立ちは整ってるし。
他の男子よりうるさくないからじゃん?』
『えー。まさか環奈も桐生狙いだったり?』
『違うけど。』
『てか、何気に環奈モテるよね?
2年の時も先輩に何回かコクられてたし。』
『あー……あったねぇ……そんなこと。』
『なんで断っちゃったの?
背が高くて、イケメンだったじゃん!』
『………うーん。なんか趣味じゃなくて。』
『もったいない!私に分けてほしいわ!』
『あはは。平、高身長推しだもんね。
わかった。今度それが来たら平にまわすよー
なんつって。』
あの先輩をふった理由はちょっと違うけど
平には話せないし。
『おい。柊。』
スッと流れるような、澄んだ声で呼ばれた。
『……桐生君。なに?』
『なんだよ。チビ!』
『お前は黙れゴリラ女。
柊、話がある。ちょっと来い。』
そう言うと、桐生君はスタスタと教室を出ていった。
………うっ……クラスの女子の視線が突き刺さる。
『さっすが環奈。モテる女は辛いねぇ♪』
『面白がってるでしょ。平。』
なにはともあれ
とりあえず桐生君の後を追った。
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