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いつか、こんな日が来ると思ってた。
『……答えたくなければ…いいけど。』
黙るわたしに、桐生君は続けた。
『故人の肉体から離れた魂は、一定期間は生前と同じ状態を保てるんだ。
期間は人それぞれ個人差はあるけど』
『でも辿る道はだいたい同じだ。
成仏出来ない幽霊は、現世への想いがたちきれなくなって
………生きてる人間にとり憑く様になる。』
『とり憑く……… 』
『とり憑かれた人間は大抵弱る。
病気になったり、精神を病んだり。
最悪自殺したり。』
自殺って言葉に、背中が凍る気がした。
『うろついてる幽霊は……知り合いか?』
『…………おとうさん。』
『…………………』
『半年前に、飲酒運転の車にはねられたの。
口うるさくて
おせっかいだし
毎日ケンカばっかしてたの。
事故の前の日も、しょうもないことでケンカして
私、言っちゃったの。』
『…………………』
『おとうさんなんか嫌い。
消えちゃえ!!って。』
ポタポタと床に涙が落ちた。
『おとうさん殺したの……わたしなの。』
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