【2】いきなり、アサインされました!

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「は、はは。周防さんと違って、俺は脚が短いんで」 「そのようだ」  わ、そこは否定しないんだと驚く。  嫌味なのか素直なのか分からない。なんなんだこの男は。  どうやってこの時間をやり過ごそうか考えていると、周防の方から話し掛けてきた。 「ピヨ……入中は何センチある?」 「あ、俺の身長ですか? ええと、百七十センチくらいですかね」 「そうか。俺より十五センチ低いな」 「……はい」 「その髪と目の色は天然なのか?」 「え? あ、はい。そうです」 「純粋な日本人か?」 「そうです」  急に向かい合っての尋問が始まってビビる。なんだ、この会話。取り調べかよ。  目の前の周防には麻薬取締官(マトリ)か税関職員のような雰囲気があった。次はポケットの中身を尋ねられそうだ。脅されるより前に中身を全部、出した方がいいのだろうか? 「綺麗だな。アイルランドかスコットランドの少年みたいだ」 「へ?」 「どちらも綺麗な色をしているな、と言っている」 「あ、はい」  周防は真っすぐな黒髪で瞳も漆黒だ。腹の中身もブラックそうだが、それは黙っておいた。反対に陽向の髪と瞳は赤味の入った薄茶色をしている。確かに日本人には珍しい色なのかもしれない。瞳が大きく、髪がクルクルの癖毛なので、子どもの頃はよくハーフに間違えられた。 「ダンスが上手くて驚いた。昔からやっていたのか?」  ダンス?  プロジェクトの打ち上げで踊ったことはない。そもそも周防と同じプロジェクトになったことはないのだ。コンサルタントはユニットで動くため、一度、仕事で親しくなった相手でも会わない時は何ヶ月も会わない。  ピヨたん音頭のことを言っているのだと気づいて、陽向は慌てて頷いた。
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