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「周防さんは日本の大学を出た後、ハーバードビジネススクールでMBAを取得されて、外資の戦略系ファームにいらしたんですよね」
「そうだ。二社で経験を積んだ後、EKにハンティングされた」
「凄いですね」
どうせマッキンゼーやボストンコンサルティング、ベインアンドカンパニーなんかにいたのだろう。すげーな。そこそこの私大で満足してチャラつきまくっていた自分が恥ずかしくなる。
「凄くはないがこの仕事に誇りを持っている。全てのものにバリューをつけるのが俺の仕事だ」
バリューとは価値のことだ。
コンサル業は0を1にする仕事ではない。今あるものの価値や評価をインパクトのあるものに変化させるのが重要な役目だ。バリューが出せないコンサルタントは、役立たずの烙印を押されてすぐにお払い箱になる。
その後も色々、訊かれたが、磁場が違いすぎて会話の中身が入ってこなかった。褒められているようなニュアンスを感じなくもなかったが、一対一で尋問されている気持ちが拭えなかった。とにかく圧が凄い。この取り調べがいつ終わるのかと思っていると料理が運ばれてきて、陽向はホッと胸を撫で下ろした。
ランチのメインは鳥料理で周防は鴨を陽向はチキンを頼んでいた。焼き立てのパンは食べ放題で数種類のディップをつけて食べられる。アスパラのサラダとマッシュルームのスープも美味しそうだ。
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