【3】裏の顔はオカン系男子!?

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 ボーッとしているとただ寝癖を直されたのだと分かった。ついでのようにネクタイの歪みも直される。 「不動産会社の営業マンなんだから、もう少し爽やかな感じを出せ」 「はい……」 「茶色のスーツにタータンチェックの青のネクタイって、センスがイギリスのコメディアンみたいだな……」 「駄目ですか?」  凄く可愛いと思ったのにショックだ。 「そうだ、俺のネクタイを貸してやる」  周防は自分のロッカーから青のレジメンタルタイを出してきた。抵抗する間もなく、ネクタイを取りかえられる。しゅるしゅると心地よい音を聞きながら、これはなんだと思った。  もの凄く世話を焼かれている。  お母さんみが強い。  けれど、周防の表情はクールな鉄仮面のままだ。  やっぱり、この男のことが分からない。何か意図があって陽向の世話を焼いているのだろうか。 「これでいい。若手の爽やかな営業マンに見える」 「あ、ありがとうございます」  陽向が礼を言うと、周防は微かに頷いた。
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