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公園の入口を抜け、噴水の傍にあるベンチに座る。すると周防が目の前で従者のように品よく傅いた。
足を取られ、革靴を脱がされる。そのまま果物の皮を剥くように靴下をつるりと脱がされ、踵をじっくり検品された。
「可哀相に……出血している。痛かっただろう?」
「あの……ホントに大丈夫ですから」
自分でやると言う前に変な軟膏を塗られ、その上から絆創膏をペタリと貼られた。不思議なもので、その瞬間、痛みが消えた。ホッとするような温かい気持ちに満たされる。これぞ手当てだなと思った。
「あの、ありがとうございます」
「構わない。これで普通に歩けるだろう」
二人の間を柔らかい夜風が吹き抜ける。周防の前髪がサラリと揺れた。
「なんか……お母さんみたい、ですよね?」
「どうした?」
「周防さんって見た目と違って、お母さんみが強いなって。行動とか言動が。……あ、失礼なことを言ってしまってすみません」
見た目と中身にギャップがあるオカン系彼氏やゴリラ系彼氏は確かに人気があるが、周防はその中でも異端な気がした。
「やはり、変か? 変なのか?」
「変というか……ギャップのアールが強めというか……」
「ギャップのアール……」
「あ、悪口じゃないですから。気にしないで下さい」
「俺は時々、人から変わっていると言われることがあるが、そんなに変か? 自分では至って普通の男、真面目でスタンダードなコンサルタントだと思っているが」
スタンダード?
周防が標準なら自分などゴミ屑だ。くそ虫だ。
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