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「周防さんは素晴らしいコンサルタントです。尊敬していますし……非常におこがましいですが、自分もそうなれればと思っています。変というのは存在がユニークで型破りということです。唯一無二というか奇人というか……あれ」
「やはり、変わっているんだな?」
「いえ……あの……」
「いいんだ」
「すみません」
謝ってみたものの、真面目な顔をしている周防を見ていると笑いが込み上げてきそうになる。ニヤけるの抑えて冷静を装っていると周防が顔を近づけてきた。
「今、笑っているな?」
「いえ」
「いや、笑っている」
顔が近い。モアイというよりは石仏だ。なんかこう、悠久の時を超えました感がある。
「前頭筋と眼輪筋、胸筋と口輪筋が、微妙に動いているぞ」
「やめて下さい。ベテランの刑事みたいです」
また例の尋問が始まったと思い、ついつい口元が緩んでしまう。
「その見た目でオカン系とか、ホントないです」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ」
耐えきれず、とうとう陽向は吹き出した。
「周防さんはどうして俺なんかに優しくしてくれるんですか? 俺のこと、本当は、『ゆるふわ系のくそ虫が』って思ってるんじゃないんですか?」
「クソムシとはどんな虫だ。表現が独特だな」
おまえがな、と言いそうになる。
陽向はこれまで思っていたことを口にした。
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