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はるのあじ。(山の青目線)
「えぇ!?――いやいや…。いくら何でもこの量はねぇだろ…」
知り合いから届いた段ボール箱を開けて見たら。
『今年も沢山取れました』という手紙と一緒に、手のひらに余る大きさの皮つきの筍が5本と、ビニール袋に入った謎の薄茶色の粉と鷹の爪が梱包されてた。
摘まみ上げて手のひらの上でビニールごとむにむにしてみるけど。やっぱり粉の正体は解らない。
取り敢えず母ちゃんに電話してみたら。このむにむにの正体は米ぬかで、筍と一緒に茹でてあく抜きするためのものらしい。
5本もあるから家に送るって言ったら、『皮剥いたら意外と小さい』とか、『その大きさならせいぜい二人分ぐらいにしかならない』とか母ちゃんに色々言われて、いよいよ自分で何とかするしかなくなった。
キッチンに箱ごと運んで、とりあえずスマホで『筍 あく抜き』って検索掛けると、
「穂先5センチと根本を切り落として…穂先に十字の切り込みいれて。鍋に水と米ぬか入れて…落し蓋して1時間茹でて、火を止めそのまま冷めるの待ってから皮をむく」
手を入念に洗ってから、最近カレーとか肉じゃが作るのに使ってる大きい鍋をキャビネットから出す。
写真と同じように穂先切って、根本の紫色のぶつぶつそぎ落として
から鍋に入れて、むにむにしてた米ぬか一掴み入れて、全部被るくらいの水入れてから、落し蓋なんて無いから他の鍋の蓋を置いて火にかけた。
1時間茹でてる間に。今度は『筍料理』って料理サイトで検索掛ける。
ヒット数で圧倒的だったのが『筍ご飯』『焼き筍』だったけど。
「えっ!?――しまった…ウソだろ。全部茹でちゃったよ」
焼き筍は皮ごとが定番みたいだったから早速失敗したと思って嘆いてたら。
「筍入り餃子」
なる変わり種レシピを見つけた。
「えっ?餃子!餃子食べたい!」
米買う序でに、餃子の皮と挽肉を買おう!っていうか…。それならばいっそ。
茹でて皮剥いた筍と米と餃子の皮と挽肉を担いで、主の居ない颯君の家にたどり着いた。
今日は颯君は夕方から月曜ゼロサムの為に日のテレ入りしてて、日付が変わるまで帰らないコトは解ってたから。会う心配もない。
「よーし、じゃあ。ちゃっちゃとやっちゃいますかねぇ」
『家に居よう』キャンペーン張ってるからなのか、本当に最近になってから突然颯君の家には調理道具が増えた。
それまではこんな鍋とか…フライパンとか、何なら炊飯器すら無かった。
手を洗って、家とは勝手が違うからとりあえず片っ端からキャビネットや食器棚を開けて、まな板と包丁とフライパンを探し出す。
そうだ。折角だから‥‥。
颯君の部屋からタブレット持って来てスタンドセットした。
(了)
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