若様が来る!

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「父は……国家老は私が家計を逼迫させることを恥じているのです。大食する限り身分を明かすことを禁じられております。最早ここまで、失礼いたします」 「あ、お静様。お待ちを」  園の両親が引き留めようとしたが、静は一刻もしないうちに大きな琵琶を背負って立ち去った。  無言で涙を流す園の背に、喜兵衛が手を添えた。 「……縁がなかったのだ」  
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