30. 未来へ

3/4
前へ
/317ページ
次へ
 いろんな人間がいる。一人一人違って、それぞれに考え方も物事に対する捉え方も違う。  春名と俺だって違う人間なのだ。  春名の長所も欠点も、すべて含めた春名のことが俺は好きで。春名にとってもそうであってほしいと願う。 「雫、今度さ・・・・・・、また雫に会いたいって」 「会いたい?」 「・・・・・・義紀が」  少しぶっきらぼうに放つ言葉に苦笑する。  父さんとはまだ呼びづらいと、下の名前で呼び捨てで呼ぶことにしたらしい。三枝さんもその方がいいとお互いに納得しているらしい。それでも、進歩だと思うのだ。 「じゃあ、今度また三人でご飯にでもいこう」 「ん。ありがと」  俺は幸せ者だ。  一組の親子が互いに歩みより親子になって行く様をそばで見守れるのだ。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2349人が本棚に入れています
本棚に追加