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「お兄ちゃん、お帰りー!」
「ただいま。帰ろうか」
「うん」
「ほら、先生にさようならって」
「せんせえ、さよーなら!」
「はい。結ちゃん、さようなら。また明日ね」
保育士の先生に挨拶をして手を繋いで園を出た。妹の結は今五歳で年長クラスだ。しっかりしていておりこうな、目に入れても痛くない俺の可愛い妹だ。
「結。今日、兄ちゃんの・・・・・・お友だちが体調が悪くて部屋で寝てるんだ。帰ったら静かに遊べるか?」
「お兄ちゃんのお友だち? お熱なの?」
「ああ、そうだ」
「わかった。結、静かにできるよ」
「ありがとう」
いつも帰宅したら捲し立てるように一日の出来事を話してくれる誰々と遊んだとか、誰々がこんなことをしていて面白かった。先生がこんな話をしてくれた、と。今日はもしかしたら構ってやれないかもしれないと前もって知らせておかなくては可哀想だし、話しておけば、結は理解できる子だ。
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