1. 校則違反は許しません

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「ほんと、会長って真面目だよなー」 「お前も少しは真面目にやれ」 「だって、こんなことしたって誰も聞いちゃいませんよ」  同じく生徒会として校門に立っていた副会長の前園(まえぞの)孝志(たかし)は俺と同じく二年で、中学からの仲だ。文句を垂れているのが書記である武田(たけだ)(はじめ)、一年。  もう一人会計の多田(ただ)まどかという一年の女子がいるが、今日は用があるらしく集まっていない。 「聞いてないからと言ってやらないという選択肢はない!」 「わぁかってますよぉ! 怖いなぁ」  声を張り、武田に注意をすると両手をあげ怯えたように答える。明るくひょうきんでムードメーカーではあるが、若干不真面目さがもったいない。悪いやつではないが、無駄なことが嫌いという武田には、こういう仕事は好かないのだろう。とはいえ、すべてが無駄だとは思わない。十人に一人でも二十人に一人でも俺たちの声を気に止めて改善しようと思ってくれるかもしれないのだから。校則にはすべて理由がある。無意味なものはない。何らかの意図があって作られたものだ。それを守ることも、守るように指導していくことも大切だと俺は思う。
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