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「会長の任は前園が引き継いでくれた。前園の方が人を纏めるのに適している。だから心配はしていない」
「でも・・・・・・」
「それに、噂の否定はしなくていい」
俺は春名の目を見てまっすぐとそう告げた。
「どうして」
「自らひけらかす必要はないが、嘘をついてまで隠したいわけではない。俺はただ、春名と穏やかに過ごしていきたいんだ」
「雫って、本当にかっこいいや」
春名は眩しそうに目を細めながら言った。
何がなのかはわからないが、春名にそう言われるのは悪い気はしない。
「桜にはもう少し学校は休んだ方がいいって言われてるんだ」
「ああ。それがいいだろう。あの場にはあまりいない方がいい」
「そんなにひどい?」
「水を得た魚のようだ。ただ物珍しい面白い話題が身近にあって興奮しているんだろう。きっとそれも次第に落ち着く。皆、新しい物好きだからな」
そんな中にいて精神的に参っていた。でも、春名に会って面白いくらいに心が晴れた。話してわかり会って、こうして近くなっていく心の距離に安堵する。
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