29. わだかまりの解消に向けて

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「大丈夫か?」 「・・・・・・ん。ごめん、大丈夫。なんか、色々と追い付けなくて」  三枝さんと別れ、マンションに戻ってきたが、春名は黙り込んだままソファに座り込んでいた。俺が声をかけるとようやく顔をあげ息をつく。  疲れた顔をしている。 「頑張ったな」 「ありがとう、本当に。雫が側にいてくれてよかった」 「そうか? ならよかった」 「俺、・・・・・・すこしは愛されてたのかな」 「名前のことか? 悩んで決めたといってただろう。お前を想って考えてくれたのは間違いないだろう」  そう言うと、そうだよね。と言いながら隣に座った俺の肩にコテンと頭を乗せた。 「あー、落ち着く。癒し効果抜群」 「なんだそれは」 「俺、許せるかな。あいつのこと」 「許したいのか」 「わかんない。でも、頑なになって拒むのはなんか、もったいないかもって思う」
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