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3. 月本家の日常
アパートにつくと、結は言いつけを守るためしーと指を立てて口許に当て忍び足で入っていった。そこまでしなくてもいいと言ったが、そうやって楽しんでいるようだ。
「今日は簡単にオムライスでもいいか?」
「オムライス好きー! ・・・・・・あっ、ごめんなさい」
「少しくらい大丈夫だよ」
手洗いを済ませた結に、確認をとるとオムライスにテンションが上がったらしく声をあげた。すぐにさっきの約束を思い出したらしく困った顔で謝るので、思わず笑う。
「じゃあ、すぐに作るから待ってな」
「お手伝いする?」
「大丈夫。今朝遊んでた自由画帳とかの片付けしときな」
「はぁい!」
広げっぱなしになっていた画用紙とクレヨンをせっせと片付けはじめたのを確認し、俺は料理に取りかかった。あいつには卵粥でも作ってやれば食えるか。冷蔵庫の中の安売りの卵を消費してしまおう。
料理は特別得意じゃないが必要にかられてやっていると、ある程度食べられるものは作れるようになった。
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