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「みなさん、おはようございます」
バスが動き出してすぐに、玉ねぎみたいな頭をした添乗員の男性がマイクで話し始めた。軽い自己紹介と今日の行程の説明だ。名前、ナガサワだって。ふーん……。
話を聞きながら、バスの中を見渡してみた。客層はさまざまで、若い人もいれば年配の方もいる。子供連れのお父さんもいるし、女同士もいれば、もちろん男女のカップルもいる。
ん、カップル? もしかして、私達も周りからカップルに見えちゃってたり……
「ねえねえ、高橋さん」
「わー、調子こきましたすいませんっ!」
「え、急になんの謝罪?」
「あ、いや、その……何でもないです」
焦った! 心の声がダダ漏れたのかと思った。
「ふーん?」
わー、その少し目を細めた顔! 色っぽ過ぎて鼻血吹きそうですっ!
「ま、いいや。それよりさ、今のうちに軽く寝ていい? 一睡もしてないからさすがにすげー眠……ふぁぁぁぁぁぁ」
氷室さんの大あくびにつられて、私もふぁぁ、とあくびが漏れた。うん、確かにすごく眠い。
「全然いいですよ。私も少し寝ます」
「うん、じゃあオヤスミー」
「おやすみなさ…………へっ!?」
氷室さんはあろうことか、私の肩に頭を預けてきたのだ。
……こんなん寝れるか、ボケ!
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