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食事を終えて、またバスに乗り込む。次の目的地である牧場型テーマパークは、ここからそう遠くないらしい。
氷室さんが音楽を聴こうと言い出して、彼のスマホから伸びるイヤホンを片方ずつ共有。なにこれ、キャー! カップルみたい!
ノリノリになっている内に、バスが目的地に到着した。ここは自然の中の大きなテーマパーク。これからのんびり1時間ほど散策する。
旗を持った玉ね……ナガサワさんの後ろを、ツアー参加客がゾロゾロとついていく。私は列の後ろの方を氷室さんと一緒に歩いた。
「自然、いいよね。なにより静かでさ」
「確かに! 店はジャラジャラとかキュインキュインとかうるさいですもんね」
「それな……あ、ひつじ! すんげーいる!」
「ほんとだ、大群だあ!」
そういえば、今日は本当にずっと氷室さんと一緒にいるなあ。なんて幸せなんだろう。
それにしても、氷室さんの私服姿カッコイイなあ。黒いTシャツに迷彩のパンツ。センスの塊じゃんか。
あれ、私も今日黒Tシャツだ。これはもしやオソロ…
「あ! 亜矢ちゃん!」
「キャッ!」
突然腕を掴まれて、グイッと引き寄せられた。ええっ、急に胸きゅんラブイベント発生!?
「牛のフン! ぶつかるとこだったよ!」
「……」
……この切り株みたいにでかいの、牛のフンかよ。
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