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「え、亜矢ちゃん大丈夫?」
先に待っていた氷室さんが、私の顔を心配そうに覗きこんだ。
「ごめんなさい……ちょっとのぼせちゃって」
「そっか。じっとしてて」
氷室さんは、すぐ近くの自販機で冷たい水のペットボトルを買ってきてくれた。
「飲める?」
「……あ、うん。ありがとうございます」
手渡された水を飲んだけれど、気持ち悪さはまだとれない。
「少し休もっか。そこのソファーに移動しよ?」
氷室さんに支えられて、受付のソファーに移動すると、私は半ば倒れ込むように座った。
氷室さんは受付で借りたのか、手にしたうちわでずっと私をあおいでくれている。私は冷水を飲んで、体の温度を下げるよう努めた。
「どう? 立ち上がれそう?」
氷室さんが何度めかの同じ質問をして、私がようやく頷いた頃には、もう40分以上経っていたのだった。
ナガサワさんから告げられていた集合時間をかなり過ぎてしまっている。
「ごめんなさい! 時間過ぎちゃってる。ほんとごめんなさいっ!」
「大丈夫じゃん? さすがに待っててくれてるでしょ」
さすがに、人数も確認せずにバスを出発させてしまうことはないだろう。そう思いながら、バスの駐車場まで戻ったけれど。
「えっ、まじか……」
「……バス、いませんね」
私達2人は、まさかの置いてけぼりをくらってしまったのだった。
ナガサワ……玉ねぎ野郎め! みじん切りにするぞゴルァ!!
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