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「どうしよう、タクシー呼んでもらいます?」
「1時間かかるのに? 金もったいなくない?」
「それは私が出すから大丈夫です!」
「えー」
氷室さんはとても不満げな顔をした。
「そんなことに金使うくらいならさ、せっかく温泉街いるんだし、一泊して帰ろうよ。あ、もちろん宿泊費は俺出すから」
「えー!? 泊まり! だって! 氷室さん! 明日! 仕事!」
「また単語しか言えない子になってる」
そりゃなるでしょうよ!
だって、氷室さんと、お、お泊まり……いやいやいや、まずはそこじゃなくて。
もし私1人だったら絶対に泊まる。でも、彼は明日仕事なのだ。
「仕事は夕方からだし、大丈夫だって」
氷室さんは眩いほどの笑顔で言う。
「それに、亜矢ちゃんは今体調悪いんだし、ゆっくり休んだ方がいいでしょ?」
「い、いや、でも、だって……」
「旅は道連れって言うじゃん?」
こんなド田舎に突然置き去りにされてしまったのに、私のせいで帰れなくなったのに、責めるどころか私の体の心配をしてくれる。その優しさ、まさに神クラス!
ああ、もう好き! 好き通り越して崇拝!
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