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──ねえ、どうしたらいいですか。
「……なんで、そんな部屋の隅っこで正座してんの? 座敷わらし?」
「……」
「亜矢ちゃん、俺のことそんなに嫌い?」
「きききき嫌い!? そんな! 滅相もございません!」
「じゃあ、こっちおいでよ」
……タスケテ。
同じ部屋なんて聞いてない。 確変中とは言え、ラブハプニングが過ぎるんだけど! こちとら非リア歴21年! 筋金入りなんだってば!
座ったままの私に一瞥をくれて、氷室さんはタバコの煙をまるでため息みたいに吐き出した。
……え、もしかして嫌われた? 違うんです、そっちに行きたいんです! でも緊張し過ぎて動けないんですーっ!
恥ずかしくて情けなくて涙がじわっと滲んできたから、慌てて俯く。あーあ。
「あーやちゃん」
そんなしょぼい私のツムジに、氷室さんのいい声が降ってくる。俯いたままの視界に、彼の足元。いつの間にか、彼は私の目の前にしゃがみこんでいた。
「…………」
「ねえ、こっち向いて」
「……どうしても、ですか?」
「うん、どうしても」
ふぅっと一息ついて、仕方なく顔を上げて…
「…………ぶっ!」
思いっきり吹き出してしまった。だって氷室さん、すんごい変顔してるんだもん!
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