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目の前の台は、たっぷりと期待だけさせて、最後の最後で緑文字。あー当たらないかも、と思ってたら、やっぱりハズレた。
座っているオバサン、もう4万くらい突っ込んでるのに可哀想だ。右隣のじいさんは、もう7連チャンしてるのに。格差社会甚だしい。
私もだ。ペア旅行に行く相手すらもいない。世の中との格差が酷い。
無駄に一等を当てたばっかりに、こんな惨めな気持ちになろうとは!
「はぁー……」
思わず盛大なため息を漏らしたとき、
「なにこの世の終わりみたいな顔してんの?」
頭の上から、からかうような声が降ってきた。首をめいっぱい後ろに倒して見上げた先には、見とれてしまうほど端正な顔。
「あー、氷室さん」
彼、氷室優さんは私の上司。スラリとした身長は183センチあって、145センチしかない私からしたら、もはや天界の住人だ。
その遥か高い位置にある顔は、びっくりするくらいのイケメン。性格は明るくて人懐っこい。
とにかくハイスペックなのに、31歳独身、彼女ナシ。……解せぬ。
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