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「……………………はい?」
急に耳に飛び込んできた一言に、私の思考がロングフリーズした。パチンコやスロットならプレミア演出だ。
「その日は俺と旅行しようね」
綺麗な一重の瞳が、楽しげに弧を描く。
「……ええっ!?」
「つっても、日帰りだっけ?」
「え、いや、そそそうですけど……えっ、だだって、そんな……え、氷室さん、仕事は?」
一等引いた時よりびっくり。びっくりし過ぎてカミカミだ。だって、一緒に旅行って!
「仕事? そんなの1日くらい、誰か休みのやつ買収するから大丈夫」
「ば、買収……。いやいや、そんな、私が一緒に行く人いないからってわざわざ! 悪いですって!」
テンパり過ぎ。何断ってんの、私。バカなの?
「ふーん。亜矢ちゃんは、俺と行くのやなんだ?」
氷室さんは、ちょっと不貞腐れたように口を尖らせた。何その顔、可愛過ぎる。可愛いなんて、10歳くらい年上の人に失礼だけど。
それより、亜矢ちゃんとか急に下の名前で呼ぶのやめて。心臓に悪いから! 嬉しいけどね!
「い、嫌とかそんなわけないしっ!」
「ふーん。じゃあ一緒行くよね?」
「は、は、はいっ! 行きます、行かせていただきますともっ!」
人生、たまにはすんげーラッキーも起きる。
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