2

6/6
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「……………………はい?」 急に耳に飛び込んできた一言に、私の思考がロングフリーズした。パチンコやスロットならプレミア演出だ。 「その日は俺と旅行しようね」 綺麗な一重の瞳が、楽しげに弧を描く。 「……ええっ!?」 「つっても、日帰りだっけ?」 「え、いや、そそそうですけど……えっ、だだって、そんな……え、氷室さん、仕事は?」 一等引いた時よりびっくり。びっくりし過ぎてカミカミだ。だって、一緒に旅行って! 「仕事? そんなの1日くらい、誰か休みのやつ買収するから大丈夫」 「ば、買収……。いやいや、そんな、私が一緒に行く人いないからってわざわざ! 悪いですって!」 テンパり過ぎ。何断ってんの、私。バカなの? 「ふーん。亜矢(あや)ちゃんは、俺と行くのやなんだ?」 氷室さんは、ちょっと不貞腐れたように口を尖らせた。何その顔、可愛過ぎる。可愛いなんて、10歳くらい年上の人に失礼だけど。 それより、亜矢ちゃんとか急に下の名前で呼ぶのやめて。心臓に悪いから! 嬉しいけどね! 「い、嫌とかそんなわけないしっ!」 「ふーん。じゃあ一緒行くよね?」 「は、は、はいっ! 行きます、行かせていただきますともっ!」 人生、たまにはすんげーラッキーも起きる。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!