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リニューアルした富永聖子鑑賞会を終えて、姉は次の作戦会議のため、私を連れてスターバックスコーヒーへと向かった。美味しいコーヒーを飲みながら話そうということだ。 「ここがスターバックスコーヒーかあ」  初めてのスターバックスコーヒーに私は若干緊張した。早口で感想を吐露してしまう。 「私ね、いつも外からスターバックスコーヒーを見ているだけで、実際にスターバックスコーヒーの店内に入るのは初めてなの。だってスターバックスコーヒーってオシャレだから敷居が高いというか。でもスターバックスコーヒーって」 「スタバっていってくんないかな! 」  姉が一喝した。  駅前のスタバは、土曜の夕方ということもあり、レジに客列ができるほどのにぎわいだった。幸い私たちは、オシャレでふかふかのソファに座ることができた。まわりには得意気にノートパソコンを眺める人たちがいた。私なんかが場違いじゃないだろうかという生粋(きっすい)の劣等感に襲われ、私はソファに深く腰かけることなく、背筋を伸ばしたままだった。  小さなテーブルをはさみ、姉と向かい合う。本日のオススメコーヒーをゆっくりと口に含む。 「……うん、いい香り。……うん、美味しい。これがスタバの味かあ」  私は洗練されたコーヒーの香りに目を閉じた。キャバクラのメイクルームで鼻にこびりついた匂いはとうにきえていた。  「さてと、本題よ」姉が長い脚を組みかえた。「聖子をイジめてる連中のことを詳しく教えてちょうだい」 「あいつらは――」私はやつらのことを淡々と説明していった。
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