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そのグループは同じクラスの男五人と女二人の計七人からなる。そのうちの男二人と女二人は、ほとんどオマケみたいなものだ。  中核は男三人。  まず、リーダーの加藤。このグループだけでなく、クラスのドンでもある。自分の手を汚すことなく悪行を尽くす狡猾(こうかつ)なやつだ。そのルックスは他校の女子生徒にも轟くほどのイケメンぶりで、担任の女教師(三十三歳)とも関係を持ち、いいなりにしているとの噂もある。唇の端をいつも不敵にあげている。  次に、喧嘩自慢の牛丸。このグループのナンバー2で、加藤のボディーガード役でもある。学校を仕切る三年生のドンとのタイマンでも圧勝し、喧嘩だけなら校内一の強さを誇っている。ボクシングと柔道の上級者で、街で絡んできた不良は片っ端から潰していくという武闘派。  三人目は、頭脳派の佐久間。このグループが生徒指導の鬼教師に目をつけられた時にも、巧みな話術で難を逃れた。イジメを密告しようとした生徒の存在にもいち早く気づき、他の生徒に根回しをしてやめさせた。企業でいうクレーム対策班に近いかもしれない。  イジメグループのことを一通り話した。  姉は目線を一点に集中し、熟考している様子だった。  しばらくすると、姉は口を開いた。 「まずは、牛丸くんからメロメロにしちゃおうか」  企み顔の姉の目には、勝算の文字が映っていた。    学校を五日間休んだ。  男を手玉にするスパルタ訓練を何日も受けた私は、いよいよ最初のターゲットである喧嘩最強の牛丸のもとへ向かうのであった。
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