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最後に"どこで目をつけられたのか知らないけどな"と付け足しフッと鼻で笑い飛ばしている14歳の少年に、高評価はされたが16歳の少年は相も変わらず無表情である。
無表情の16歳の少年の隣りでは、13歳の少年がこんな状況でも照れているのか、頬を赤らめくねくね動いている。
「そうね。どうせ私は平凡ですものね。
こんなに美形が揃っているから高値で取引されるかもしれないわねっ。」
そしてその強調された皮肉にフォローを入れるものは誰もいない。
13歳の少女から不穏な空気が溢れ出ているのを感じ、人事のように皆誰か可愛いよって言ってあげろよと思っていると、間が良いのか悪いのか乗っている馬車が停車する。
停車して数秒経つと荷馬車の扉が開かれおっさんが現れた。
おっさんは13歳の少女の腕を強引に掴むと、むりやり腕を引っ張り、物を扱うように引きずり下ろす。そして次々と同じ方法で乱暴に引きずり下ろされていく。
「おい!お前ら。
今日はここで野宿する事になった。
逃げんじゃねぇぞ。
彼奴等みてぇに首にまで愛玩動物のような首輪と鎖をつけたくなかったらな!!
ハッ、まあそれでも逃げる奴らは逃げるがなぁ。」
彼奴等と言いながら親指で向こうを見るように指す。
その様子を見るに、自分達が乗っている荷馬車以外に、後ろにも前にも似たような外見の馬車が何台かいたようだ。
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