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現実逃避から戻って来ると間が良いのか悪いのか、さっきとは別のなんとも微妙な太っている、気色悪いおっさんが話しかけてきた。
「おい!そこの女俺の相手をしろよ。ゲフフ
周りの男の方が顔は好みだが、俺は女が良いんだ。
平凡だがお前が俺の相手をしてくれるんだろう?ゲフフ」
奇妙な気色悪い笑い方をしながらジリジリと13歳の少女に手を伸ばし近づいてくる。
しかし少女は“平凡だけど仕方ない”と言われブチ切れているように見える。
今ならこの気色悪いおっさんを木っ端微塵にしてしまいそうな勢いだ。
不穏な空気を撒き散らしているように見え、13歳の少年はのほほんとしているが、俺と14歳の少年は本能的につい、背にあるさっきまで乗っていた荷馬車の扉の方に一歩下がる。
もちろん気色悪いおっさんに恐怖を覚えたからではない。
そこにいる13歳の少女に対しての恐怖である。
俺達二人の中で平凡という言葉は禁句中の禁句、厳重封印要注意な言語であるという認識に変わっていた。
そこに自分ら勇者のようにどこからともなく、気色悪いおっさんの後ろにスッと現れたのは、白い騎士服を着た美形な男だった。
まあ事実は13歳の少女に木端微塵にされる前に現れてくれたおかげで、おっさんの命が伸びただけだったが。
「気色悪いおっさんよぉ。嬢ちゃんに近付いたら木端微塵になるぜ。
俺ァ気にしねぇが、死にたくなけりゃ俺に大人しく気絶させられてるんだなァ。」
トスっと手刀が気色悪いおっさんの首に落とされ気絶する。
そしてそのままの態勢で前、それも顔面から倒れ地面に激突した。
が騎士含め五人は目で追ったあと痛そうだと思いながらも、見なかったとばかりに騎士に目を向ける。
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