―ep.4―「不動の大枝」

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―ep.4―「不動の大枝」

そしてもう1人。 劇団フロイラインで毎回のように主演をつとめる、「不動のエース」と呼ばれるトップ団員のあの人なくして合宿参加の選抜メンバーなど選べるはずもないだろう。 劇団が大地に根を張る1本の木だとするなら、その中でも一際大きな枝(Ast)である《アストさん》は、誰もが認めるフロイラインの顔であり、表舞台に立たない座長を除けば、トップに君臨するに相応しい謎のカリスマ性を有している。 既にいくつかの俳優事務所からスカウトを受けていると噂に聞くほどその実力は確かで、それでも現状に満足することなく常に努力を怠らない姿勢は他の団員達への刺激となり、「看板俳優としての」アストを皆が尊敬し憧れていた。 しかし。 役者としては認められているアストだが、その人間性に関していえば話は別だった。
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