―ep.2―「うっとうしい蔓」

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―ep.2―「うっとうしい蔓」

キルシェはまず、傍らに立つ同い年の男を見やった。 「蔓」のRanke(ランケ)。 彼は言わずと知れたジュニア団員トップで、このメンバーと肩を並べても何もおかしくないどころか、「次期エース」という言葉が似合うキラキラとしたフレッシュさがある。 …ただ、素の彼はあまりに元気が良すぎるというか、はっきり言ってしまえば度の過ぎたウザキャラで、誰かれかまわずとにかく鬱陶しい絡み方をしてくるからかなわない。 そんな性格が功を奏して面白い役ばかりが回ってきた結果、「個性派」の肩書きを得て注目を浴び、ジュニアトップまで駆け上がっていったのだった。 存在自体が冗談みたいな男だが、憎たらしいのは実はよく見るとルックスが滅茶苦茶良いということなのだ。 座長に言わせれば「黙っていれば劇団の歴史の中でも一番の男前かもしれない」。しかし彼が黙る時は死ぬ時だろうという付け足しの一言も忘れなかった。 勿体ないと取るべきか魅力と取るべきかはキルシェにはわからないが、そんな点も彼が一筋縄ではいかないと言われる所以だろうと思う。
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