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第1章 第1幕 『芦堂の番長』
俺が住んでいる街は、表面上はどこにでもある普通の街だ。しかし、その実不良グループや反社会的勢力が蔓延っている何ともまあ住みにくい街だった。
「おいこら。聞いてんのか」
「すみません……もうお金は持ってないんです」
「あ? 舐めてんのかてめえ」
まるでドラマのような場面。今どき、あんなテンプレみたいな不良がいるのかと不思議に思う。絡んでいるのは、恐らく芦堂の連中だ。絡まれているのは一般人。気の弱そうな高校生だ。
「てめえがぶつかってきたんだろうが。俺らなんか悪いことしてるか?」
「いや、そんなことは……」
「だったらそれなりの態度があんだろ! 土下座だ土下座!」
数が多いから気が大きくなっているのか、ぶつかれたと吠える奴は度の過ぎた要求を始めた。まあ、かつあげしてる時点でいきすぎてるけど……。
「け、警察呼びますよ……!」
「あ? 警察? 呼びたきゃ呼べよ。お前を助けてくれるならな」
「……」
普通こんだけ騒いでたら、警官が寄ってきてもおかしくない。だが、この場に警官がいたとしても結果は変わらないだろう。この街の警察は、その機能を麻痺させているからだ。
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