第2章 第1幕 『五大勢力』

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第2章 第1幕 『五大勢力』

結果から言うと、叔母さんの遺体を見つけることはできなかった。警察には捜査依頼を出し、引き続き捜索を行ってもらうことになった。この街の警察が動くとは思っていなかったが、この件を担当してくれた刑事が意外とマトモな人物だった。 見た目は子どもみたいな刑事だったが、人は見かけによらないということか。 叔母さんのことは、叔父さんにも当然伝わった。一見、冷静を装っていたが、叔父さんも相当ショックを受けているはず。それでも、俺を不安にさせまいと、そう振る舞っているんだ。 叔父さんのためにも、絶対にアイツを捕まえる。どんな手段を使ってでも。 後日、俺は間宮に呼び出された。場所は芦堂高校旧校舎屋上。奴は一人で待っていた。俺は、八崎と二人でそこを訪れていた。 「……よう」 「用件は?」 俺が聞くと、間宮はポリポリと頭をかき、めんどくさそうにその口を開いた。 「あー、こういうのは面倒なんだが、きっちり話をしておかないとな」 と、間宮は右手の人差し指と中指をスッと立てた。 「用件は二つ。まず一つ目は、これからの動きについてだ」 「動き?」 「ああ。お前が真田に手を出した理由は分かった。事情が事情だ。ああするしかなかったってのも分かる。幸い、アイツもしばらく病院で寝てりゃ治るって医者も言ってる。それに、俺があの時あいつを捕まえてりゃもっと早く話は済んでいた。俺が真田に手を出した件は、今回は不問だ。むしろ、俺はお前に協力するべきだと思っている」 「俺に、協力だって? 何の冗談だよ?」 「本気で言っている。今後、俺はお前の目的が達成されるまで協力することを約束する」 「……それは、お前についてる芦堂の連中もってことか?」 「それはない。俺とあいつらは何の関係もない。あくまで俺個人の話だ」 「……新庄とかいう奴は?」 「あいつも同じだ。俺には関係ない。まあ、勝手に動くかもしれんがな」 「…………」 これからのことを考えるなら、人数は多いに越したことはない。それに、間宮と協力関係を作っておけば、昨日みたいに邪魔されるリスクも減る。 だが、俺の心はそれを拒絶していた。こんな奴の力を借りたくない。不良なんかの力を。 昨日も、形的にコイツらは協力してくれたかもしれない。頭では分かっている。この提案は呑むべきだと。 分かっては、いるけど……。
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