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そうして、俺はリーリーに連れられて、まあまあはしゃいだ。
ちょっとだけ俺何してんだろ、とか思ったけど。
途中リーリーが買ったタピーオに、店員が変な気を遣ってストローを二本挿してくれたのにはめちゃくちゃ気まずかった。
「リーリーさん。いい加減に聞いてもいいですか」
休憩と入ったカフェのテラス席で、向かい合ってケーキを食べながら、俺は満を持して聞いてみた。
「なに?」
「今日は一体どう言うおつもりで……?」
キョトンとするリーリー。
「なんか企んでる?」
「企んでは無い」
「それは企んでるやつの言い方!」
もうなんなの?この子怖いよ。
「はあ。もういいや。本当はね、あたし、あの時息をひきとる前の源太くんと話したんだ」
それはさながら、隠していた0点のテストを親に見つかった時みたいな、そんな気分だった。
もうケーキの味もわからないくらい、自分が同様していることがわかる。
「源太くんがね、必死で話してくれた。灰になって消えちゃう前に。あんたが違う世界から来たこと、あんたとの出会い、あんたが大切にしてた人のこと、その結末を」
源太め、どんな嫌がらせだよまったく。
ほんと俺のこと好きだよな。
「なにを聞いたか知らんけど、だから今日は俺に変な気を遣ってたんだな」
「変な気って、失礼な!甘やかしてあげたんじゃない」
「甘やかすってなあ、なんでも奢ってやったらいいとか思ってんのかよ実は金持ちの王女さんはよお」
バチィィィイン!
「イテェよまたかよチクショー」
「ともかく!あんたってなんか距離感掴めないって思ってたけど、色々あって大変な思いして、頑張ってきたんだなって思ったのよ!」
えらい簡潔にまとめたな。
「いいのに」
「え、何が?」
下向いちゃってどうした?
「もっとグイグイきてもいいのに」
「へっ?」
「だって指輪くれたじゃん」
指輪?なんだっけ?
「もう!長期休暇のあと!あたしに指輪くれたでしょ!?」
「ああ、あれ」
獣人達に貰った貴金属の中に、リーリーの瞳の色によく似た石のついた指輪があって、そういやちゃんと渡したな。
「そういうことだと思ってたんだけど!?違うの!?」
「なんだよそういう事って」
「ぐううううう、もう、知らない!!」
怒って走っていくリーリー。ほんと挙動不審だ。
まあでも、リーリーはほんといい奴だ。
最初からいい奴だったな。
明日からまた学園かー。みんな元気かな?
とか考える呑気な俺。
でも次の日に、あの指輪の真実を知ってしまうのでした。
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