第4話 それは伝説の生き物です

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「んじゃまた来ます!」  一通り見て回り、おばちゃんに手を振って店を出た。次はどうしようなんて考えるリーリーについて、俺はキョロキョロしながら歩く。 「あ、そうだ最近流行ってる飲み物があるんだった。行ってみる?」 「ん、任せる」  というわけで、リーリーとやって来たのはなにやら若い女の子が集まる屋台の前だ。  所でこの世界は、どうやら文明の利器があまりないようで、写真とか電子看板なんかが存在しない。そのせいか、店の看板は全て手書きだ。  その屋台の看板には、なにやらカップに入った大量の目玉のようなものが描かれている。 「これ、最近流行っててね、ターピオっいう飲み物なんだけど」  俺は驚いて、というか予想通りすぎて目玉が飛び出しそうになる。 「モチモチのつぶつぶが沢山入ってて美味しいんだよねー」 「あああああ異世界にもこんなもんが流行ってんのかチクショー!!」 「……どうしたの?」  要するに、この屋台で売っているものはあの集合体である。  日本でもめっちゃ流行ってる、あれである。 「おえ。俺こういう集合体ニガテ」 「ちょっと、本気で吐きそうな顔しないでよ!?」 「無理。キモい」  ガン、と足の甲を踏まれた。  ……というのは、完全に余談である。  陽も陰り、そろそろ戻ろうかという事になった俺たちは、ギルド『隻眼の猫』の前まで帰ってきた。 「今日はまあ、楽しかった。ありがとう」 「なによ。別にあんたの為じゃなくて、マスターに頼まれたからなんだからね」  頬を膨らませて、リーリーが俺を睨み付ける。 「わかってるって」 「じゃあ、あたしはあっちだから」  あれ、リーリーもここに住んでるんじゃないのかと疑問が過ぎる。そういえば、そもそも他のギルドメンバーもどこにいるんだ? 「なに?」 「いや、どこに住んでるのか気になって」 「ああ、あたし、この街の学園の生徒だから、そこの寮に住んでんのよ。あー、明日からまた学校かあ」  なんだ、と? 「おい、その学園、魔法とか学べるのか?」 「そうだけど?」  キョトンとするリーリーなど気にせず、俺はガッツポーズでもって叫んだ。 「俺も学園に行きたい!!」  偶然近くを通った人が、ギョッとして俺を見てすぐに視線を反らせたけれど関係ない。  これはまさに、王道シチュ、定番の流れじゃあないか!! 「あんた、歳は?言っとくけど、学園には18歳までの人しか入れないからね」 「リーリーは幾つだ?」  そう問うと、リーリーはちょっとムッとした顔をする。 「……16だけど」 「じゃあ俺も設定16で」 「はあ?」  そりゃあ100年は吸血鬼として生きているわけだけど、見た目はさほど変わっていないはず! 「あんた、自分が16に見えるわけ?」 「ちょい、失礼だぞ。あ、もしかしてもっと上に見えてた?」  それはそれで許す。大人っぽいってことだろ? 「そんなわけないでしょ。あたしより下だと思ってた」  え? 「うっそだぁ?」 「いやガチで」  俺はこの世界に転生してから、一番のショックを受けたのでした。グスン。
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