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四日目の朝。帰るためにロビーに集まった俺をダンテが待ち構えていた。
「リク、すまない、少しいいか?」
俺はクラスメイトから離れ、遠くにいるウルシュラ女王に睨まれなが、ダンテのもとへ向かう。
「正直君が吸血鬼だなどとは、とても信じられんのだが」
「バカにしに来たの?」
ダンテは厳つい肩をすくめる。
「すまんな。そんなつもりはなかった。と、そんな事を言いに来たわけではないんだ」
改まったように俺を見るダンテが、ふと視線を逸らした先。そこには、大きな荷物を抱えたリーリーがいた。
「お嬢さんの立場上、直接声をかけるわけにはいかないが」
「なんだよ?俺も早く行かないと、ウルシュラ女王にキレられるんだけど」
「お嬢さんを、どうか守ってやって欲しい」
ああ、そうか。わざわざ何かと思えば、だ。
「国王の言葉に、君は失望しただろう。だから、この国の事よりもまず、お嬢さんの事を考えて欲しい。頼む」
豪快な男が、静かに頭を下げる。
「わかってるさ。俺だってそのつもりだ。まあ、リーリーを守れば、必然的にこの国を守る事になるだろうが」
ダンテは硬い表情を、少しだけ緩めた。
「だが勘違いするな!俺はな、お前らが考えてるほど強くはないんだよ!国?そんなデケェもんどうやって守るってんだ国王のバーカ!!」
と、ダンテは急に肩を震わせ出す。ガッハハハ!と豪快に笑った。
「それもそうだな!まあ、我ら国王軍もいるんだ!あまり気にせず、お嬢さんのそばにいてやってくれ」
「任せろ、おっさん!」
ひと通り笑うと、ダンテは帰っていった。
これで、3泊4日の研修旅行は無事に終わった。
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