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第15話 学園祭!!
学園の朝は早い。
俺がちょっと寝坊して、ノアから頂戴した血液パックから血を啜っていると、寮の窓から始業のチャイムが聞こえた。
いっけね、と血液パックを咥えたまま、寮から飛び出した。
ちこくちこくーとか、脳内でエロゲみたいな想像をしていると、
「ぼふぇらっ!?」
「……痛い」
女子生徒に衝突した。
俺、50メートル6秒くらいで走ってたんだけど、ぶつかった俺の方が激しくダメージを受けた。
「おえっ、堅っ!?なに?ダレ?」
ぶつかった相手は、金色に輝く流れるような髪と、透明感のある肌が二次元的な可愛さを醸し出す……
「あ、イリノアじゃね?」
なんだ、知った顔じゃん。大丈夫か?
「この声、もしかして、リク?」
「よーう!久しぶりだな?元気してた?あ、つかイリノアもここの生徒だったんだな。今まで気付かんかった!」
それにしても相変わらずの美少女だなあ。エルフってところがまた、萌えるよな。
とか思っていた俺の顔に、イリノアの拳が飛んできた。
「おわあああっ!?なに?なんなの?」
急いでバク転が出来るところが俺のかっこいいところな。ちなみにちゃんと血液パックは咥えています!
「リク、わたしより強い。持って帰る」
持って帰る!ってなんだ!?
「イリノアさーん?」
困惑を浮かべる俺に、今度は風の刃が飛んできた。
それをとっさに避ける。寝起き直後の連続バク転は結構キツイわ。
「エルフは、強い人を伴侶にする。わたしは、リクを連れて帰る」
ほお?それはまた、古典的な設定で。
とか言ってる場合じゃない。このエルフ、ガチで殺しに来てる!!
「ちょっと待て!」
「待たない」
俺の頭上に、特大の風の玉が巻き起こる。
それは徐々に周りの石とか枝とか巻き込んで、大きくなっていく。
「待てって、言ってんだろーが!」
俺はリーリーに買ってもらったナイフを出し、それで左の掌を裂く。湧き出る血を使い、特大の風の刃を生み出すと、イリノアの作った風の玉を切り裂いた。
風圧で飛ばされる俺とイリノア。
俺は、用務員が丁寧に耕した花壇に突っ込んだ。
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