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第11話 がんばれ、ジルバート!!
僕の名前はジルバート・バルテレミー。
クリスティエラの城主を叔父にもつ、由緒正しき貴族の出身である。
さらに、有名ギルド『銀の流星』に所属し、将来を期待される若きホープ。
今年入学したクリスティエラ第一魔法学園では、入学式で新入生代表を務め上げたのだ!
そんな僕の好きな人はクラスメイトであるリーリー。物静かだか魔法も剣術もかなり強く、なんと言っても可愛い。
僕はリーリーに振り向いてもらうために、これまでどんな教科でも常に一番をとってきた。
でもなかなかこっちを見てくれない。
そんな時、クラスに編入生がやってきた。
名前はリク。黒い髪と赤い眼をもつ不気味な男だ。しかもなんか顔色が常に悪い。病気か?
この男、『隻眼の猫』に所属しているらしく、あろうことかリーリーととても親しげに話しているでは無いか!?
弱虫ノアを使ってとっちめようとしたけど、うまくいかず、それどころか次の日ピンピンしてた。
ギルド対抗戦では、トーナメントでぶち当たり、僕の渾身の召喚魔法をなぜか二刀流で、しかもめちゃくちゃ下手くそな剣術で破ってしまった。
後で見にきていた父親にめっちゃ叱られた。
それから宿泊研修のときには、リーリーが誘拐される事件があったのだが、僕がリーリーを見つけ出したのに、なんかよくわからないまま有耶無耶になってしまって、誰も僕の功績を思い出しもしない。
だから僕はこの夏休みの間に、とことん自分を鍛え直した。
邪魔な奴は全力で潰してのし上がる!たとえ卑怯な手を使っても、最後に立っている方が勝ちだ!
これは父親の口癖だ。
そして迎えた新学期。
僕はヤツを倒すべく、まずは情報収集を行うことにした。もしなんかやばい話が聞けたら、社会的に抹殺してやるつもりだ。
訪れたのは学園寮。ノアとリクの部屋の前だ。
魔法を使うとバレるかもしれないので、ドアの前で聞き耳をたてる。
『うわーあちぃー夏あちぃー。でも俺死なねぇ、太陽よ!すまんな!』
なんかわけのわからないバカ丸出しの声はリクだ。こいつはいつも、なんかわけがわからないことを言っている。
『もー、暑い暑い言わないでよ。僕まで暑くなるでしょ。その声聞いてたらね、自分は思ってなくても暑いなあと思えてくるんだよ?知ってた?』
このうざい話し方の高い声はノアだ。
『うるせーぞノア。だからお前には友達がいないんだ!』
『君に言われたく無いよ!ってか知ってるんだからね?夏休みの間、何回か僕んち忍び込んでアレ奪ってったよね!?』
『ギクッ、いや、それはまあ、ほら、なんかスゲェ怪我したんだよ、だからさ』
『しんじらんなーい!言ってくれたらあげるのに!僕たち友達でしょ?』
『そうでした。すんません』
『とか言いつつめっちゃ飲むじゃん!!つか今何パック目?さっきから飲み過ぎなんだってもー!!』
『いやー、今日も暑いね!』
バシッ、アイテッと、会話?は続いた。
なんの話してんのかな?
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