ひとつのアイス

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「おっはよーん!」 昨日は妹のイチゴのおもちゃのついたゴムを無断拝借したら、妹に怒られた。 ケーチケチって妹をからかっていたら、母親に怒られた。 なんか酷くね? ぶうたれていたら、500円くれた。ラッキー! 「でか」 教室でやっぱりバカ話をしてたら、鈴木が俺の頭に触れてきた。 「かわい?」 「ゴムだけな」 ひでえ。 ピンクのラメ入りリボンは、けっこう気に入ってんだけど。 「あ、鈴木放課後暇?」 「デートか?」 「もち!」 「仕方ねえな」 腕を肩に回されて、耳許にちゅ、とされた。 「デートしてやる」 連れからの冷やかしに、俺は両頬を押さえてくねくねする。 「鈴木くんあたし恥ずかしいよお~」 「そんな佐藤が恥ずかしいよ」 呆れたように鈴木は席に戻っていった。 やべ、これかわい。 いやいや、こっちも捨てがたい。 ファンシーショップで真剣にゴムを選ぶ俺に、鈴木はさくらんぼのおもちゃのついたゴムを奨めてきた。 「チェリー」 意味深…な気がするのは俺だけ? 「チェリーだな」 「チェリーなのか?」 「チェリーだろ」 「チェリーなんだ」 わけが分かんなくなってきた。 「猿にするわ俺」 猿と、ヤシの木のおもちゃのついたゴムをレジに持ってく。 けっこう高い。 コンビニの駐車場で、やっぱりアイスを一個だけ買った。 「どっち予想?」 「もち当たり!」 「じゃ、オレがハズレ予想な」 やっぱり棒には何も書かれていなかった。 再び壁に押し付けられてのちゅう。鈴木ちゅう上手? 「ん…」 出ていく舌を思わず追いかけそうになって、眉を寄せた。 「ほら」 「なにこれ」 「デート記念」 さっきのファンシーショップの袋。 鈴木を愛車で送ってから、今は自分の部屋のベッドの上。 「う~ん」 デート記念か。 「へへえ~」 って、喜ぶなよ俺。 まあでもプレゼントは嬉しいじゃん?嬉しいよな?嬉しいって。 「チェリーだし」 例えそれが意味深なチェリーのゴムでもな。
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