俺、男だよ?

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俺、男だよ?

 本日分の仕事を終えて、くるくると回るオフィスチェアの上で大きく伸びをする。ついでにあくびを一つこぼすと、隣に座っていた同僚が「おつかれ」と声をかけてきた。 「舞田さん、今日は残業なし?」 「うん、しない。予定あるし」 「あーっ、デートでしょ!? 今日はいつになく気合入った格好だもんねぇ!」  からかうように言われて、思わず今日の自分の服装を確認する。  膝下丈のシンプルなタイトスカートに、先月ヴェリテで買ったベージュのシャツ。大胆に襟を抜いて着るのが可愛いんですよ、と店員さんは言っていたけれど、職場なのでさすがにそこまではしていない。  ここまでなら普段通りだが、同僚の視線が向いているのは私の足元だ。 「そんな女っぽいパンプス履いちゃって! いつもはほぼぺたんこのへたれた靴なのに」 「だって靴なんてどうせ誰も見ないもん。バスの中で踏まれたりするしさぁ」 「まあ、それはそうだけど。それで、本当にデートなの? 彼氏できた?」 「残念ながら出来てませーん。今日は友達と女子会なんだ」  なぁんだ、とつまらなそうに口を尖らせる同僚を見て苦笑する。  女子会と言っても相手は男なんだけど、と言ってみたらこの同僚はどんな反応をするだろう。面白そうだが、説明するのがややこしいからやめておいた。
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