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終わりは冷たく
──影石五月は、助からなかった。
命を奪うことを拒み、救いを乞うことすら、無かった。
そして。
法律により『処分』された。
「残念でしたね……。影石さんのお子様でしたのに」
立花は、五月の母に話しかける。
五月の母は、淡々と答えた。
「仕方がありません。名付けた時に、決めていた事ですから」
名前は『産まれ月』を含むものに。それが『選ばれた子供の証』になる。
「あの子は、母親のわたしに『選ばれなかった』子供ですからね……」
この村では、毎年、数人の子供が誕生する。
……手術の間に合わなかった『望まれない』子供達が。
それが、この村に『選ばれた』子供なのだ。
「影石さんは、まだお若いので。もし、良ければ……」
新しい『子供』を育ててくれませんか?
終わり
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