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夜明け
そうこうしているうちに発情期が迫る。篠原夫婦は親しくなった常盤に俺の部屋に入れてくれるように懇願されたら困るだろうし…
前回、朱夏が来たときにも断ってもらったけど、嫌な役目をいつまでもお願いできない。
俺は常盤の顔を見たら流されてしまいそうだから、どこかに避難するか…
実家は同じ県内だけど、車で2時間で、電車とバスを使うと3時間の山奥。帰れなくはないが、抑制剤が効かないことを話してないし、俺も実家で自慰を繰り返すことは気が引ける。
前回とは違う抑制剤にかえてもらったけど、効くかはわからない。
常盤、朱夏、橙也先生の家にはもちろん行けない。
お金はかかるけど、発情期でも泊まれるホテルを探して泊まるしかないか…
そもそも、中途半端に常盤に優しくしてる俺が悪い…
明日から大学もバイトも発情期のためしばらく休むことにしている。
お金を稼ぐためにギリギリまでバイトを入れていて、今日の図書館のバイトは夜7時までだった。
家に帰り、大量の着替えやタオルや食料を大きなリュックサックに詰めた。
「発情期なのでしばらく実家に帰ります」篠原夫婦には挨拶した。
前回の発情期では心配してもらって申し訳ないことをした。
常盤にも実家に戻ってるとメッセージを送る。
朱夏にはメッセージは送らない。
時々大学で会うが、常盤にしっかりマーキングされているから、付き合ってると誤解しているみたいだ。
それに俺の実家は県内だが山奥だから、こんな時間からは電車やバスでは帰れない。朱夏なら不審がりそうだ。
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