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あの女の子たちには「図書館では私語は控えてください」と注意したら、睨まれた。本当は「潤は俺のもんだ。それにαはフェロモンの奴隷じゃない。バカにするな」と言いたかった。話を聞いてたって思われたくないから言わなかったが。
宝石の歴史が書かれた本を棚に戻していると、一つアイデアが浮かんだ。
リガードジュエリーがいいかも。昔ヨーロッパで流行したもので、並べた宝石にメッセージを忍ばせたジュエリーだ。
R/ルビー、E/エメラルド、G/ガーネット、A/アメジスト、R/ルビー、D/ダイヤ。6つの宝石の頭文字を並べるとREGARD「敬愛」。
リング、ブレスレット、ネックレスなんかがいいのかもしれない。忠犬なら、首輪か?潤なら喜んでつけそうだ。潤がΩならありだけど、αに首輪を付けさせるのは、独占欲を見せてるみたいで悪趣味だな。それに潤は医学部だから、今後アクセサリーは付けられないこともあるかもしれない。アクセサリーを付けてるのを見たことないから、アクセサリー自体が好きじゃないかもしれない。
小さな宝石が入ったキーフォルダーがいいかな。込められている意味は伝えなくても、潤が持ってくれてるのを見ているだけで俺の独占欲が満たされそうだ。
これは、すごーく重いプレゼントだな。潤にこの重い気持ちを気づかれたら恥ずかしすぎる。意味に気づいても、喜ぶだろうが。そう思える程、俺も忠犬の忠誠心を信じてる。
確か大学の近くにジュエリー工房があった。密かにジュエリー工房で相談しよう。
「潤、もうじき誕生日なんだろ」
一緒に食べられる日は潤の家で夕飯を作って、一緒に食べてる。食べたら、下宿まで送ってくれる。
下宿までは短い時間だけど、暗いからフードを被らずに手を繋いで歩いてる。
潤は立ち止まって俺を見た。
「誕生日の日は何が食べたい?」
「えっ…もちろん青翔さんですが…」
「夕飯の話だ…もちろん、そっちも食べていいけど…」
後半は声が小さくなってしまった。何を言ってるんだ、俺。恥ずかしいから、潤も黙るな。
「実は誕生日は今日です」
「来月じゃないのか?」
女の子の情報は正確かと思った。
「嘘です。来月です。青翔さんが私の誕生日を気にしてくださるのが嬉しくて、このまま帰したくないなと思いました」
この駄犬!こんな風に甘えてくるのもかわいいな。何だか嬉しいし。
「食べたいものとか、欲しいものはないのか?」
「今すぐ結婚してくださいって言っても、青翔さんが困るってわかってます。こうしてそばにいられるだけで充分幸せです」
「じゃ、誕生日の夜は空けておけよ」
潤が嬉しそうに頷くから、俺も胸がいっぱいになった。
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