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撮影当日、並木さんが俺たちを迎えに来た。カフェでの撮影だそうだ。
帽子、サングラスの俺はスタッフの皆さんに誤解されただろう。
自分は有名人だと勘違いしてる人じゃありません!
用意された服に着替えると別人になったみたいだ。
「朱夏さんの恋人さん、肌が白くて、本当に綺麗。
普段から日焼けを気にされているんですね。
黒髪も色っぽくて素敵です」
スタッフが褒めてくれた。
「恋人じゃありません」と言ったが、信じてくれてないみたい。
俺の白肌は、海で遊ぶ、屋外で楽しむなんてことを諦めた結果です。
俺だって、日焼けしたいです。
照明が明るすぎて、眩しい。朱夏が気づいてくれて、目を閉じていていいと言ってくれた。
そのまま移動はお姫様だっこ。周りに人がいるのに恥ずかしい。
椅子に座らせられ、姿勢を整えられ、写真を撮られている。
途中で立ってくれとの指示もあり、朱夏と手を繋いだり、朱夏に抱きしめられたりしている。
目を閉じたままだし、よくわからないが。
「青翔、お疲れ様。照明消えたから大丈夫だよ」
朱夏の声で目を開けた。
周りのスタッフからため息が漏れる。
「青翔くん、本気でモデルやらない?
今、君が目を開けただけで、みんな君に釘付けだよ」
並木さんに誘われた。
無理です。丁重にお断りした。
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