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篠原夫婦の家からは徒歩10分ほどで駅に着く。
荷物が重いから、暗い近道で行こう。
夜目がきく俺には暗いことは少しも怖くない。
もしも襲われそうになっても、敢えて暗がりに逃げ込めば相手には見えないから逃げられる、そう思っていた。
「君、いい匂いだね…。αのマーキングの匂いもしないし、遊ぼう」
通りすがりの2人組のαに声をかけられ、手を掴まれる。
「やめろ」
手を振りほどいて逃げる。
荷物が重いし、小さくて体力がない俺はすぐに捕まりそうだから、真っ暗な脇道に入って電柱の影に隠れる。
息を殺して、諦めるのを待とう。
「いい匂いですぐわかる」
αの1人に見つかってしまった。
発情期が迫っていて、フェロモンが出始めているのかもしれない。
腕をぎっちり掴まれる。
大声を出そうとしたけど、もう1人のαが細いタオルようなものを猿ぐつわにする。声が出せない。
「いい出会いを楽しもう!俺の家、この裏だから」
あっという間に手足をベルトやネクタイで縛られて、大きい方のαに抱えあげられた。
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