Act.3.5

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 それは、ある日突然、姿を現した。 「ちょっと待って! オレ、ハンバーガー頼んだのに、なんでホットケーキがくるん? しかも3つて! こんなに食えるワケないやん」  はじめに言っておくが、ここはアメリカのニューヨークである。  東海岸を代表する大都市であり、人口密度が高く、経済の中心地である。また、ファッションやアートなど世界のトレンドの最先端と言っても過言ではない街だ。  ニューヨークに支社があるのでもう何度も訪れているが、いくら人種のるつぼとは言えカフェでコテコテの関西弁を聞いたのは初めてだった。  黒いシンプルなTシャツは着ているが、両耳にピアスをし、両手に指輪をはめ、チェーンのネックレスをし、いかにもチャラチャラしてそうに見えるのは相変わらず。  奴は、ふくよかなウエイトレスに注文した料理がきていないとコテコテの関西弁で文句を言っていた。  当然のことながら、おかわり用のコーヒーポットを手にしたウエイトレスは呆れた様子で首を傾げていた。  お客様にはとりあえず謝る、という日本の文化はここには存在しない。   こっち(アメリカ)でそこそこ活躍しているとくるみから聞いていたが、まさか英語が喋れないのだろうか。  俄かには信じられないことだが、コイツならあり得るかもと思わせる無謀さのある男だ。
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