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(side雛乃)
私は美術室から飛び出した後、昇降口まで走って行くと、ようやく足を止めた。
この胸のもやもやを蛍に聞いてもらいたいと思ったが、彼女は今日も塾で、既に学校を出ている。
(小鳥遊君、貧乳が好きなんだ……だから私のこと、なんとも思っていないんだ……)
先程の小鳥遊君と杉本君の会話を思い出し、上がった息で上下する大きな胸を押さえて俯いた。今ほど、この胸が恨めしいと思ったことはない。
(小鳥遊君は、私の胸なんて気にしていないと思ってた)
胸より顔が可愛いと言ってくれた彼だったのに、まさか自分の身体つきを、好きか嫌いか判断されていただなんて。
偽りの絵を描くほど、私の大きな胸は嫌だったのだろうか?
自分が否定されたような気持ちがして、私は目を擦った。
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